日本都市技術株式会社 羽田空港跡地現場のリアル

先日、新入社員研修で、当社の実績地区の現地視察として羽田イノベーションシティに行ってきました。

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羽田イノベーションシティとは、羽田空港第3ターミナルから1駅の「天空橋」駅に直結する大規模複合施設です。

「先端」と「文化」の2つをまちのコア産業として、商業・オフィスをはじめ、多くの特徴的な機能を内包した、未来志向の新たな体験や価値に出会える場所です。

HANEDA INNOVATION CITY公式HPより:《公式》HANEDA INNOVATION CITY -羽田イノベーションシティ-)

今回は羽田空港跡地の市街地整備業務に携わった当社の社員へ「現場のリアル」を書いていただきました♪

【現場のリアル】羽田空港跡地で"未来"をつくるということ

羽田空港跡地の市街地整備に関わった、あのプロジェクト。

「羽田イノベーションシティ」として今では注目されるこの街が、実は"市街地整備のプロ"にとっても、極めて難易度の高い案件だったことをご存知でしょうか?

今回の記事では、その舞台裏と、私たち市街地整備コンサルタントの真骨頂が問われた場面を、少しだけご紹介したいと思います。

 

■"土地"の正体がわからない!?

舞台となったのは、羽田空港最寄り駅の天空橋駅周辺。GHQ接収以前からの個人名義の土地が点在し、登記上は存在していても、実態の掴めない権利関係があちこちに残されていました。

加えて、上空を飛行機が飛び交い、地下には鉄道が3本通るという制約だらけの土地。航空法による建築制限や地表・地下のインフラの存在など、あらゆる面で"通常の市街地整備の常識"が通じませんでした。

 

■どうやって価値を測るのか?

土地利用のポテンシャルが、方針によって千差万別な中で求められたのは、「整理前・後の価値」をどう見込むか。

(一財)日本不動産研究所とタッグを組み、何度もシミュレーションを繰り返しました。土地評価の前提となる"価格"一つ取っても、区画道路の整備状況や国道との一体利用といった視点を織り込まなければ、机上の空論になってしまいます。

都市再生機構内部の評価委員会に何度も呼ばれて、毎回、白熱した議論が繰り広げられました。

 

■リスクをチャンスに変える設計力

このプロジェクトで、特に印象深かったのは「保留地の設定」です。

土地処分価格が読みにくい中、あえて保守的に"多め"に保留地を設定。結果的に高値で売却できたことで、保留地面積を減らし、その分を都市公園用地へ転換することができました。

これにより、エリア全体の価値が底上げされ、「街の質」が一段引き上がったのです。

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■地味だけど重要、「土地使用料」の設計

一見地味な裏方の仕事ですが、大田区と連携して取り組んだ土地使用料の設定業務も、非常に緻密なものでした。

電力、通信、エネルギー、上下水...多種多様な公益インフラが地表・地下で複雑に交差する中、それぞれの使用実態を把握し、適正な料率を設定していきました。

さらに、空港の安全保障上の観点から、関係機関との調整も一筋縄ではいかず、非常に苦労した業務でもあります。

 

■「土地に新しい価値を吹き込む」ために

あれから10年。

あの土地は今、「羽田イノベーションシティ」として生まれ変わり、"ものづくりのまち"大田区との連携のもと、地域経済に新たな風を吹き込んでいます。

市街地整備とは、単なるインフラ整備ではありません。

過去・現在・未来をつなぎ、"土地に新しい価値を吹き込む"仕事なのだと、改めて感じさせられたプロジェクトでした。

私たちが担うコンサルティングの仕事は、目に見えにくいけれど、都市の未来を大きく変える力を持っている。

だからこそ、これからも"現場"の知見と想像力を武器に、未来を描いていきたいと思います。

 

■最後に(新入社員研修の様子をちらり)

まず初めにHANEDA INNOVATION CITYの開発についての説明をしていただきました。

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その後、自動運転バス「みかちゃん」に乗ってイノベーションシティ内をドライブしたり、店員さんがロボットのカフェをのぞいたりしました。

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その他にも羽田イノベーションシティには、珍しい施設がたくさんあるみたいです♪

是非とも一度足を運んでみてください。

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日本都市技術株式会社

都市・土地の開発事業を企画から推進、完了までトータルでサポートいたします。

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